Sunday, June 14, 2009 シンプルなチタンリングの造形 チタンリングの造形には作り手のくせのようなもの、かたちに対する感覚が表面化しやすいもの。制作者として結婚指輪を作る際、念頭においていることは、シンプル=単純ですっきりしたものほど、制作者の姿勢が前面に出るものだということ。ミニマルなほど、わずかな差異が突出してくるから。 同じ平打ちリングでも、わずかな平面に関する感覚も職人によって微妙なくせが現れ、ほかに造形の特徴がないものほど、その微々たる違いが前面に押し出される。 ミニマルな指輪の代表といえば細身の甲丸リングの結婚指輪。 甲丸の場合も、傾斜角度やエッジの仕上げに職人のこだわりがまっすぐに現れやすいもの。 機械を使って大量に生産されたものと違って、手仕上げはエッジもやわらかく、見た目はめりはりが利いていて使ってやさしい着け心地になっているのが職人技。 シンプルなものは着け心地にもすなおな答えがあります。。 そして職人の実力もそのまま現れるのが甲丸リングの結婚指輪です。 シンプルなものは時と場所を選ばないのに対し、デザインが複雑なリングや凹凸のある指輪、ヴォリュームあるごつい指輪にはサイズの問題もつきまとう。 毎日着ける結婚指輪というリングなだけに、日常の着け心地とサイズには注意しておきたいもの。 結婚してからずっと着ける、身に着け続けるリングなだけに、見た目よりその使い心地優先で考えれば、おのずと良いマリッジリングのデザインは導きだされるのかも。 顔を洗ったり、ジーンズのポケットに手を入れたりということひとつとっても、指に着けた結婚リングが顔に引っかかってもいけないし、ペットボトルのキャップを開けたり、握手したりしても結婚指輪が邪魔になったり、となりの指を圧迫しても着けづらいものになってしまうから。

良いデザインとは？

失敗したデザインで知られてしまったnendoによるローソンのパッケージデザインはあまりにも有名になりました。目立つことで競い合えば、いきつく先は道頓堀のぎらぎらこてこての看板ネオン街だとしても、その対極をめざすあまり、おしゃれな家に持ち帰ってもミニマルなインテリアの中にあってもマッチするデザインパッケージがコンセプトだったのでしょうが消費者への訴求力を失えば商品のデザインは失敗です。同デザイナーによる天理駅のコフフンの真っ白な階段も視認性に問題があり転落事故も出ています。階段が真っ白で段差がどこだかわからず転倒したのです。つまりおしゃれすぎるシンプルさがかえって注釈を必要とする結果を招いています。「落ちないように気を付けて」という注意書きを必要とするような階段。これはこういう食品ですよと注意書きがさらに必要になる食品包装。お客さんのみならず店員さんにとってもコンビニの陳列棚にも注釈がないととてもわかりずらいデザインにしてしまったが為に追加の注釈がかえって必要になってしまうデザイン。アフォーダンスを勉強しなければなりません。デザイン失敗は炎上を招くこととなり、デザインのあり方を大きく考えさせられる事案となりました。これは名のあるデザイン事務所の愚案に盲従した結果だと書いている人もいますが、いろいろな問題がからんでいると思います。まずデザインはだれにとってのものか、です。ユーザーにとってという点で、食品の性質上、味や中身とパッケージデザインの関係があります。化粧品や香水のパッケージとはまったく違います。おしゃれだから手にとってもらえるという問題ではなく、小粒納豆なのかひきわりなのか大粒納豆なのか、NATTOの表記と小さなイラストでおしゃれだというだけでは成立しない点です。ローソンがただ単にデザイナー選びを間違えてしまっただけの問題ではありません。この問題はレストランの内装デザインにも同じことが言えます。ウェブデザインにも同様です。押したくなるボタン、目立つボタンととにかくおしゃれを優先されたウェブデザインとは背反することがあります。視認性の問題はたとえばこんな階段も悪いデザインの一例です。 めくらましの段差が怖い床の千鳥格子シンプルすぎて伝わらないからさらに文字をつけなければいけなくなるデザインは失敗と言えます。逆に良いデザインとはなんでしょう？取り扱い説明書がなくても使える優れたデザインだったからiphoneが指示され世の中に受け入れられたのはそうしたアフォーダンスが優れていた証明です。ボタンだと説明しなくてもだれもがつい触ってしまうボタン。説明が書かれていなくても公園の遊具のそこに指を入れたくなってしまう穴があり、指を切断されてしまった事故も起きました。そうした事故は人の方よりも場の構造自体に問題があることが多いです。どんな年齢層のひとが使ってもだれにもやさしいデザイン、ユニバーサルデザインを勉強しなくてはと考えます。