お客様から学んだこと

コルタン ロンダリングから『コルタン狂想曲』まで

お客様からの声をきっかけに

岩肌をトレースしたチタン結婚指輪

プロドットのお客様は、花嫁さまが外国人だったり、新郎様が外国人だったり、と国際結婚のカップルが非常に多くお越しになります。そして、日本で報道されていないアフリカの紛争についてもよくご存じです。日本のメディアが伝えたがらないコルタンの紛争について日本人ももっと受け留めて産出国の問題に向き合わなければいけないのだと実感しました。

希少な金属レアメタル、タンタルで作った結婚指輪を着けられなくなってしまったとお叱りに近いメッセージをいただいたいきさつ。

タンタルの結婚指輪
タンタルを使った結婚指輪

『結婚指輪をタンタルにするんじゃなかった、タンタルで作ったことを後悔しました』というお叱りに近いお声を頂いたことがありました。タンタルの結婚指輪と背景にある資源の呪いこれをきっかけに、コンフリクトミネラルである3TGに指定されたタンタルのことをきちんとご説明してから販売するようになりました。タンタルという珍しさが気に入ったのに、外国のご友人から紛争鉱物タンタルのことを聞かされてから、幸せになるための結婚指輪の意味が吹き飛んでしまって、着けるのがつらくなったという悲しいご意見を賜りました。他人から指摘されるよりも先にお客様に伝えてから選択していただくべきと考えます。

タンタルの指輪は美しいグレーの暗さが際立つ金属として、アフリカに近いヨーロッパでは知られていますが、国内ではまだまだタンタルの指輪は知られていません。
外部資料*外国のタンタルの指輪

外部資料*海外でのタンタル

限りある資源タンタルと鉱物調達プロセス

タンタルの利用価値の高さの裏には産地の紛争の問題があります。コンゴ民主共和国(むかしのザイール)の紛争資金源となるコルタン(タンタルの原料)への監視の目をくぐり、産出されないはずのルワンダ産コルタンが多く出回ったのち、それを危惧した大企業がオーストラリア産コルタンを使う動きに代わりました。以前ははオーストラリアの鉱山からコルタンが採掘されていたのですが、コストがかかるため、現在は稼働していません。にも関わらず、数年前までの統計情報では、オーストラリアからタンタルが産出されていることになっています。つまり、統計上の操作が行われているということ。日本に入ってきているコルタンはロンダリングされ精錬されたタンタルやその化合物を工業製品として使っていることになります。コルタンロンダリング、紛争の原資となっている非合法な鉱物コルタンが合法的な金属タンタルにすり替えられる、産地偽装、資金洗浄ならぬコルタン洗浄に対し企業にも*デューデリジェンスが求められます。コルタンの産出される身元証明のためにドイツでは科学的にコルタンの組成分析も進められています。
3つの「T」×3つ+「G」=3TGのタンタルはどこから来ているのですか?3TGはこちらをお読みください。
外部資料*レアメタルの光と影」/生産技術研究所(東大)

レアメタルを掘りだすために捨てられるレアじゃない方のメタルたちの膨大さ

外国語圏の情報を得る方はタンタルが紛争の火種になっている報道に触れる機会があると思います。レアな鉱物資源にまつわる「レアでない方の資源の呪い」と呼ばれる現実に対する認知度が日本とは違います。資源の呪いとは、その指輪に使われるごくわずかなタンタルを採るために掘られたおびただしい量の残土を指し、陽の目を見たレアメタル、タンタルの背後に隠れて捨てられてしまった大量のレアでない鉱物たちです。資源の背後霊と言ったり、エコロジカルリュックサック(*e)とも言います。幸せになるための結婚指輪なのに、その膨大なレアメタルは犠牲を背負っているのと同時に、産地DRコンゴ(コンゴ民主共和国)で起きている多大な人道被害。国民の虐殺の上にこの豊かさがあるという現実が裏に隠れています。

資料(*e1)エコロジカルリュックサック/隠れた物質フロー/環境省

資料(*e2)What are Ecological Rucksacks?

指輪をはめるだけでそこに社会への視座がからんでいることに気付いた瞬間

私自身ダイヤのリングをはめていますが、ブラッドダイヤモンド以来、ダイヤは着けないことにしていると友達から言われ、気まずい思いをしたことがあります。

鉱物資源の由来を知らないで指輪をはめていて、人から聞かされることの方がショックが大きかったのだと思います。ゴルゴ13の『コルタン狂想曲』/さいとう・たかを著)を読まれた方はご存じではないでしょうか。

それを契機として、忘れかけていたブラッドダイヤモンドを思い出し、日本では報道されないアフリカのタンタルの鉱山で起きている現実を調べ原料の採掘、金属になるまで、そしてアフリカのコンゴ民主共和国の貧困と紛争という背景を知りました。第二次コンゴ戦争とも呼ばれます。コルタン資源獲得競争が要因です。日本のメディアによる報道はスペインメディアなどの欧州のニュースソースを和訳して掲載しているもので、直接コンゴ民主共和国の武装地域で視た報道は見当たたらないのが現状です。スペインはアフリカに一番近い欧州としては遠い問題ではありません。私個人にとっても、アフリカは遠く、北アフリカのモロッコまでしか足を踏み入れたことはありません。原料コルタンはタンタルに精製されバッテリーを長時間に延ばすのに有効な金属で、不動態を形成する性質から金属アレルギー反応に安心な希少金属となります。結婚指輪を作るのに必要なタンタルの重量は、携帯電話に使われるタンタルの60個分以上に相当します。

資源の呪いとオランダ病国連大学ウェブマガジン

コルタン(=コロンバイト+タンタライトの略)

それ以来タンタルの背景にある問題を、知らないで購入されたお客様がお友達からレアメタルtantalumがの紛争の火種だということを聞かされるよりも先に、きちんとお客様にご説明したうえで、結婚指輪の素材としてタンタルを選んでほしいと思うようになりました。今後日本国内でもこのコルタン≒タンタルの問題が浸透し、タンタル製の結婚指輪の原料の由来が認知される日が来るとすれば、タンタルで結婚指輪を作ることがブラッドダイヤモンドのようなブラッドタンタルの鉱山の紛争との因果関係の受益者になっているとあとで知り幸せを刻む指輪にがっかりしないために。

幸せになる結婚指輪のメーカーとして出来ることとは?

まずは地球の裏で何が起きているか知り、出来る事を考えるところからだと思います。消費を支配する魔術的思考によって、希少性が高いから価値がある鉱物タンタルやゴールドで結婚指輪を作ることについても考えながら。
コンゴ民主共和国には児童労働によりタンタルの原料コルタンが採掘されている鉱山があります。
問題になっている「3TG」を一律にボイコットしてしまったら、どうなるでしょう。単純に、交通事故が悪いから車をボイコットするのがおかしいように、近年やっとでてきた合法的に管理されたお手本となるような良い鉱山に、依存して生活するDRコンゴの鉱山の採掘鉱夫たちも影響を受けます。
コルタンこそコンゴ民主共和国の地元経済の発展を助け、経済再建の可能性を持っていると考え、社会的・環境的に信頼できる筋の合法的な商取引によって正規に採掘されたDRコンゴ産コルタンの流通市場を作ることが求められます。鉱物の奪い合いを制した武装勢力から流れた紛争鉱物をレアメタルといって先進国が我先にとタンタルという宝を富みのために奪い合いと搾取により流通を滞らせ供給をしぶり高騰させ希少性を高めている現状は根深い問題があります。。資金はまた武力勢力の武器へと代ります。その繰り返しです。このレアメタルはバッテリーを長持ちさせるためにほとんどのガジェット、携帯電話に使われているのですから、アフリカだけの問題ではありません。充電を長持ちさせるため、ポータブルなゲーム機やタブレットなどあらゆるガジェットにどうしてもタンタルでなければならない理由があるからです。アフリカの子どもたちの犠牲の上に先進国の便利さや幸せが成り立っている。タンタルはリサイクルされるべき希少な金属です。

社会も一緒に幸せになるために出来ることとは?

携帯電話は宝の山

 「都市鉱山」という言葉は広く知れ渡っています。

日本は地上に資源の山を持っているのです。
鉄や銅、金などの金属類は、通常は原産地のリアルな外国の鉱山から採掘され運ばれ精錬されます。一方、毎日使っている携帯電話の中にも、たくさんの貴金属が使われています。中でも、3TGの「G」であるゴールドは携帯電話1トンあたり200グラムから300グラムも使われているのです。また、パラジウムやインジウムなどのレアメタルも含まれています。これらは世界的にも埋蔵量が限られており、産地は地球の一部に偏在しているので、タンタル同様国際紛争の火種です。都市が保有する電子機器がたくさんの貴金属を含有していることから、都市鉱山と呼ばれています。廃棄される電子ガジェットからレアメタルを回収することは、自然の鉱山から採掘してくるよりもコスト的にもメリットがあり、何より希少な資源の有効活用につながります。貴金属はジュエリーに使われるよりも化学工業関係、電子、電気通信工業機関係、表面処理、医療に使われていてこれらは装飾ではなく、機能的に目にみえない部分で活躍している必須の用途です。結婚指輪は一生ものとして大事にされ、リサイクル率が高いのに対し、産業で使われる特に携帯電話は次々に新しいものに買い換え捨てられてしまうことが問題です。


都市鉱山と有用金属レアメタルと金、銀、銅回収「有用金属レアメタルを都市鉱山から回収する東京都・渋谷区のとりくみ」より

都市鉱山から作るみんなのメダルプロジェクト

東京5輪2020のメダルを都市鉱山から作るメダルプロジェクト/環境省+東京5輪組織委員会
東京オリンピック、パラリンピックの金、銀、銅メダル約5000個を都市鉱山からリサイクルで作るプロジェクトです。渋谷区の清掃リサイクル化リサイクル推進係でも使用済みの小型家電、携帯電話などをリサイクルボックスを設置して回収しています。

環境対策

ジュエリー工房とレアメタルと環境アセスメント

環境負荷を低減するための製品設計は携帯電話会社だけでなく、貴金属を扱うジュエリーもレアメタルを扱う金属アレルギージュエリー工房にも大切な取り組みだと考えます。

日本の出遅れた3R運動
3Rのとりくみ リユースのR リデュースのR リサイクルのRの3つのRです。

化学の力で資源を回収リサイクル

カニやエビの甲羅でレアメタルを回収
 都市鉱山からレアメタルを回収する方法は、現在は溶鉱炉で溶かして分離・精錬するのが主流です。しかし、その方法では膨大なエネルギーを消費してしまいます。そこで注目されるのが、物質の吸着作用の性質を生かして金属を分離する方法。着目されたのが、カニやエビの甲羅などに含まれるキチンという物質です。キチンは食品加工会社などが大量に廃棄していたものから回収できるので、環境にもやさしい。
 キチンは、アルカリ溶液中で金属との親和性の高いキトサンに変化させることが可能。このキトサンを使って、ゴールドやインジウムなどを吸着させ、都市鉱山からレアメタルを回収しようというのです。エネルギーを消費する「乾式回収」から、バイオマスなどの化学の力を使った低コストで環境にやさしい「湿式回収」へ。これが実現すれば、日本はレアメタルの資源リサイクル立国になるということです。
参考資料*こちらの応用化学を参照しました。

外部資料*責任ある鉱物調達検討会

 

結婚指輪と資源収奪文明とCSR

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)

ノキアがタンタルの購入を断念したような本当の意味のCSRが求められている地球環境破壊は資源収奪型文明によるもの

結論:matome:結婚指輪の材質を選ぶことと社会への視座

「2人がふたりの幸せのためだけに選択するという個人へ向けた選択」から、「2人がふたりの幸せのために、社会に向けた選択をする時代」

ゴールドを選ぶかプラチナを選ぶかタンタルを選ぶかチタンを選ぶかを考えてみること。そこに社会に対する選びとり方の姿勢が現れます。

いわゆる装飾品のファッションリングは他者への顕示的消費かもしれませんが、結婚指輪というのはふたりが歩み出すための一歩となる消費行動であり表明です。物質的な価値で満足するなら贅沢で価格が高いほど満足する社会もかつてはありましたが、これからの結婚指輪選びには、ものに対する感性や情報でそこに人の価値観と意識の高さが現れます。アフリカの犠牲をそのままに、日本に居る2人だけが幸せになることなんてできません。そして結婚指輪には結婚のスタートから時間や経験が刻まれていきます。

私たちは結婚指輪を自分たちなりの「独自の尺度」による選択により、まるで金属に階層性があるかのごとき商業広告のランク付けに惑わされることなく、資源や環境を考えて物性からサージカルステンレスを選んだりキュービックジルコニアを選んで良い、自由な時代になりました。この国の宝飾ビジネスはあたかも残り少ない資源を高級とかハイジュエリーと宣伝し、使うと歪んでしまう金属をアピールしているのはなぜ?(海外ではプラチナは日本ほど人気の高い金属ではありません。)なぜデザイン性やポリシーで勝負しない?あの環境保護に熱心なハリウッドスターたちも当時のプリウスに乗っていたではありませんか。値段の高い、贅沢ランキングの高い車ではなく、人生観が現れていました。

なんのために結婚指輪を選びますか?

金やダイヤをひとに見せびらかして優越感を得るとか、人並みから劣っていない証明のためにプラチナリングや贅沢を所有して満足のためにダイヤモンドのエンゲージリングを着けるのではありません。結婚指輪は装飾品を個人所有するのとは意味が違って、人生におけるパートナーとのつながりという意味を持っています。人類は大海原に一人ぼっちでは生存していけませんし、ジャングルの秘境のようなナマの自然にひとり放置されては現代人は生き延びられません。文明社会を作り支え合います。結婚指輪選びも、個人的な幸せの2人のためだけではない、社会に向けて表明する行動であり、結婚というかたちもそのひとつです。協働して小さな社会を作る第一歩です。

そして金属には物性があり、社会とのつながりがあります。ブラッドダイヤモンドでもなく、地球環境破壊でもなく、現代の新しい金属にはプラチナよりゴールドより強く美しく安全で清潔で丈夫なチタンを始め、環境へ配慮した金属も選択肢にあるということにも人々が気付き始めています。

知りたい なぜ コンテンツ

パッチテストはする必要ない

どの金属にアレルギー反応あるか知るまでもなく

キンバリープロセス

紛争ダイヤ禁輸と監視
映画”ブラッドダイヤモンド”を観てダイヤをボイコットしますか?

エンゲージリングのサイズはきつめを選んで正解

結婚指輪とは違う、婚約指輪のサイズの選び方

チタンは変色するのですか?

チタンの表面の油膜の不思議

どの金属が一番高級なのですか?

チタン、ジルコニウム、コルタン?

レアメタルが採掘されるコンゴ民主共和国DRCでのコルタン鉱物紛争

コンフリクト ミネラル3TG(タンタル、すず、タングステン&ゴールド)をめぐる密輸と武器の資金

金属イオンって何?

イオンの発生と水分の不可欠な関係とバーチャルアレルギー

有害金属のパッチテスト

除外すべき皮膚検査、六価クロム、水銀、カドミウム、鉛

パッチテストの副作用

実験室の人工的なプラチナイオンとジュエリーの金属プラチナって同じじゃない?

皮膚科のパッチテストの金と指輪の金とはこう違う

パッチテストの金は塩化金から出来たイオン、ジュエリーの18Kやシャンパンゴールドは何から出来ているの?

パッチテストの陽性が出たら着けない方が良いジュエリーの具体的な金属対応表

判定が(+)(-)出たけれど具体的にどのジュエリーがだめで、どのアクセサリーなら大丈夫なのですか?

生涯着けるはずだった結婚指輪を着けなくなったのはどんなタイミング?

重い指輪ほど実際着けなくなる人が多いのはなぜ?

タンタルtantalumになる前のコルタンを知りたい

タンタルの背景:コンゴ民主共和国