の直後に

アレルギー科や皮膚科でパッチテストで陰性でもかゆくなったり、陽性でもジュエリーが大丈夫なのはどうして?

アレルゲン(抗原)はタンパクから出来ています。

金属は金属イオンとなってたんぱくと反応します。アレルギー症状を誘発する抗体は、これらのたんぱくと反応します。
ほぼ同じ配列を持つたんぱくが2種類以上の物質に共通に含まれる場合があります。これを交差反応といいます。
交差抗原を理解することは、アレルギー予防でも重要なポイントの1つではないかと思われます。交差反応を起こすアレルゲンを交差抗原もしくは共通抗原と呼びます。アレルギーの発症には、アレルゲン分子の免疫交差性が関与するため、分類学上の類縁関係を超えて、分子レベルでの共通する構造や機能(未知のものもあれば、既知のものもある)に依存する可能性が高いということ。その事がアレルギーのメカニズムの解明(奥深い部分)や治療法に複雑さを与えているものと思われます。金属にも非常に近い同族があります。参考資料「アレルギー・アトピー」交差反応(交差抗原、共通抗原)

こちらのピアスでの金属アレルギーの症例では金と水銀の交差反応が疑われると報告されています。*参考日本皮膚科学会誌 「ピアスによる金皮膚炎10例の臨床的・病理組織学的・免疫組織学的検討」

ジュエリーの金属別、要パッチテストの試料金属判定

皮膚科で受けられる金属アレルギーテストは、製薬会社のセットになっていますが、アクセサリーのために用意された試薬ではありません。むしろ歯科や治療薬に含まれる金属元素に傾いており、ジュエリーで最も皮膚に接する機会のあるロジウムが欠けていますし、ほとんど経皮感作する可能性のないアレルゲンばかりです。

プラチナの指輪やネックレス、ピアスが大丈夫か知りたかったら

まずロジウムをテストすべきです。

市販されているプラチナジュエリーの多くははロジウムメッキがかかっています。皮膚に接触するのはプラチナではなく、ロジウムだからです。ジュエリーを調べるならロジウムを調べるべきですが、どの製薬会社のパッチテストのセットにもロジウムが入っていませんので取り寄せになります。純プラチナPt1000なら塩化白金酸に陰性で着けられます。プラチナPt950 ,Pt900,Pt850 ならパラジウムも混ざっていますので塩化パラジウムを要テスト、イリジウムも入っている可能性がありますので四塩化イリジウムも要テストです。ルテニウムも混ざっているもの、コバルトが混ざっているPt900 もありますので塩化コバルトも念のため判定してください。

シルバー925のジュエリー

925銀は最もポピュラーなシルバーアクセです。市販のシルバーアクセサリーのうち、ネックレス等には変色防止のロジウムメッキがかかっています。臭化銀のまえにロジウムをテストしないと反応がわかりません。シルバー925は1000分の75は銅なので硫酸銅のテストも必要です。それからロウ付けに亜鉛が混ざりますので塩化亜鉛も要テストです。銀が大丈夫だからと思っていても亜鉛でかゆくなります。

ピンクゴールド18kまたはローズゴールド

18kといえば金が24分の18を占め、残り25%は銅や銀、パラジウムなどです。ピンクゴールドには金をメインに銅の方が多く、グリーンゴールドなら銀の方が多く混ざっています。(*1)塩化金酸、臭化銀、硫酸銅すべて陰性かどうか要判定です。

サージカルステンレス316L

鉄の塩化第二鉄、クロムの硫酸クロム、ニッケルの硫酸ニッケルとモリブデンを要テスト。金属アレルギーテストの項目にステンレスという名前の金属はありませんので合金の複数の種類を要テストです。

シャンパンゴールド

塩化金酸(-)、臭化銀(-)、硫酸ニッケル(-)なら着けられます。ホワイトゴールドも同様ですがロジウムを要テスト

塩化金酸(-)塩化パラジウム(-)硫酸ニッケル(+)塩化白金酸(+)だったら何が着けられる?

この場合金とパラジウムは着けられるので、ニッケルフリーのホワイトゴールドWGは着けられるのですが、ロジウムめっきされているWGの下地にニッケルが使われるので、めっき無しでオーダーするか、ニッケルフリーのロジウムメッキがされているものに限らないとアレルギーが出てしまいます。塩化白金酸≒プラチナは陽性なのでアレルギーが出てしまいます。

ゴールドプレート、シルバープレーィングのピアス

プレーティングと呼ばれている製品はすべてめっきですのでニッケルを調べないといけませんので硫酸ニッケルで判定。母材が真鍮でその上に銀メッキをしていたり、母材が銀で表面が金メッキだったり、母材は見えません。真鍮であれば銅とニッケルの合金です。硫酸銅と硫酸ニッケルでテストです。金属アレルギーで最も可能性の高いアレルゲンがニッケルです。一番かぶれやすいので、ニッケルフリーというめっきも出てきています。ニッケルが使われていないものを選びましょう。その場合は代替えとしてスズが使われます。第二塩化スズで判定します。

タングステン

タングステン(W)の粉末試料で判定。
参考資料銀の溶かし方、タングステン(W)の溶かし方/(独)国立環境研究所

チタンのメガネ

ジュエリーは純チタンなのですが、眼鏡には弾力を持たせるために、チタン合金が使われます。チタンをメインに、アルミ、バナジウム、ニッケルの合金が使われますので塩化アルミニウム、硫酸ニッケルで判定です。バナジウムは製薬会社のセットにありませんので取り寄せです。


純金の指輪、24Kゴールドのピアス

まず純金製のピアスというのはほとんど市販されていません。ポストとヘッドがたとえ純金だったとしてもロウ付け部分には合金が使用されますので、ピアスの穴に直接触れてしまいます。接合部のロウ付け加工の合金から金属イオンが溶出し、アレルギーの起因となっています。一般の方は24金ピアスでもだめだったとおっしゃるのはそのためです。ピアスをポストとヘッド部の接合無しに全体を鋳造で量産する場合、非常に柔らかくジュエリーとしては不備が起こり易いため、地金により接合してていねいに作るからです。
24kゴールドのテストなら、たとえば金箔は24金でできていますから、チョコレートの装飾の金箔とか、金箔入りのドリンクの金を肌に貼って絆創膏で試すことができるはずですが、金を肌に貼りつけても自然界では誰に対しても何も起こらないため、あえて製薬会社は塩酸で金を溶かして塩化金酸(=テトラクロロ金酸)を希釈しテストさせるしくみです。肌と指輪とのあいだに金が塩化金酸に変化する可能性はゼロですので、テストから除外して良いという個人的意見を持っています。これらの検査は化粧品や医薬品に添加されている塩化金酸への反応を調べるためのテストになっていて、ジュエリーのためではないことがわかります。

テストの陽性の正確性、信憑性

(*2)塩化金酸の陽性反応と金のアレルギー原因アレルゲンとの一致率は18人中16人です。金のネックレスを着けても犯人は金ではなく、めっきのロジウムとの下地になったニッケルの可能性が高く、24金以外の合金の方の元素に可能性があります。金のネックレスは純金であってもロウ付けでチェーンがひとこま一コマ接合されます。そこに使用されるのは純金以外の融点の低い金属です。

(*1)塩化金酸は皮膚を腐食させる酸ですが、パッチテストには原液が使われることはありません。試薬は0.2%ですから500倍に薄めてテストされています。塩化金酸テトラクロロ金酸
(*2)パッチテスト結果で陽性反応とアレルゲンの一致率・鳥居製薬

純チタン

指輪はすべて純チタン製です。合金はありません。検査の試薬は、塩化チタン、酸化チタン、チタンの粉末にワセリンの3種類でテストはクリニックによってまちまちで統一されておらず、塩化チタン以外は判定するまでもなく、誰もが陰性となり、塩化チタンで陽性が出たとしても、塩化チタンに触れる機会はジュエリーでは絶対に考えられませんのでジュエリー目的なら除外して良いでしょう。人に触れたチタンが自然環境において塩化チタンと同等の成分に変化することなど100%ありえないからです。

純チタンの指輪

ジュエリーと医薬品は違う

ジュエリーは古代のむかしから存在してきました。装身具には錆びない変化しない安全なものが人の知恵によって選ばれ現代に伝えられてきたものです。医薬品のように、人工的に化学的に作られたものとは全く違います。昔から身に着けられていた金やプラチナは安全です。そして現代の進歩で精錬できるようになったチタンもまた安全です。

中高生に購入し易い低価格なピアスの組成を調査例
低価格のピアス商品テスト/静岡県環境衛生科学研究所

ロジウムという金属

ロジウム製のジュエリーとか、塊の金属としてのロジウムというのは出回っていないので目にすることはないでしょう。白金族で、めっきに使われています。白っぽく見せたいプラチナ、ホワイトゴールド、シルバーのメッキです。外側にロジウムがかかっているので、実際のプラチナではなく、これら3種は中身が視えない、ロジウムを見ていることになります。人工的にメッキしてあるので、磨耗によりはげます。剥げると母材であるPt,Au,Agが露出します。

10KWG(10金ホワイトゴールド)とシルバーリングとどちらが金属アレルギーになり易いですか?

答えはどちらも合金なので金属アレルギーになり易い部類に入ります。どちらがベターということはありません。ミックスメタルのうちどの金属イオンがその人の持つ抗体に反応するものかどうかなので合金の優劣は付けられるものではない。ただし合金と違ってTiO2酸化チタンはヒトの体質によって個人的に反応するとかしないという金属ではありません。酸素と強烈な結びつきのために反応が終わっています。したがってどんな人でもあらゆる体質の人に対して反応がありません。金属アレルギー

ホワイトゴールド=WGは金に混ぜている金属がパラジウムPdの場合とニッケルNiの場合があります。10Kは24分の10のAuゴールドが入っているという意味になっています。

危険なGold-filled Metal

Gold filled ゴールドフィルド メタルは金属アレルギーを起こします

Gold-filledゴールドフィルドというのは金メッキの薄皮が若干多めに貼られた金メッキに似たコーティングのことを差します。母材として使われるのは真鍮の合金でワイヤーアクセサリーが流行っていますが、ロウ付けにはさらに低温の不純物が使われるため、汗と容易に反応し金属アレルギーになりやすいアクセサリーです。

安価なメッキやゴールドフィルドのジュエリーが原因となって金属アレルギーを発症するほか、アレルギーを持つ方が知らずに着けてしまうとかゆくなったり赤くなったり炎症を起こします。見えるところが金でも継いである部分は金以外の金属が直接肌に触れてしまうため金属アレルギーを悪化させることにもなるので注意が必要です。有害なハンダを使って半田付けしているサイトもありますので、購入前にどのような金属素材を使用しているか十分に確認する必要があります。

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