チタンの色のしくみ

チタンの色は塗料によって発色しているのではなく、チタンの表面には金属チタン自体が酸化被膜を作りその被膜自体は透明ですが反射が厚みによって跳ね返してくる色が変わるので網膜に色として見えているしくみです。空が青いけれど青い物質が漂っているわけではないのと同じしくみです。チタンの表面には遺物が塗布されていないので、色がはげ落ちたりはいたしません。

チタンと酸素との化合が(*注1)進行して被膜が成長し色の違いが出ることはありません

*注1:ただしヒトの生存する環境下で

指紋による脂で反射が7色に

チタンの塊りを削り出して瞬時に拡大ルーペを覗いてみました。
空気に触れる前のチタンの色を見られるでしょうか?
こたえはNOです。光が物体に反射して跳ね帰って網膜に到達し脳が何色と判断する前にすでに酸素が吸着層を作っています。私たちが見ているチタンにはすでに常温でも被膜がついています。そしてその被膜は光を不思議に乱反射させます。
チタンの断面を拡大ルーペ10倍で観察しますと、切断した刃の動いた跡によって7色に反射しているのがみてとれます。それはすべての絵具全色を練り込んだときと同様に認識されます。それがグレーです。

チタンリングは変色しません

チタンが変色したと勘違いする原因は被膜形成剤


チタンは常温に放置して化学変化を起こすかどうか?答えは起こりえません。
車の塗料が日焼けしたり、紙の印刷物のカラーが日光の紫外線で退色するイメージが刷り込まれている方が多く、チタンも時間が経つと黒ずむと勘違いする方がいますが、チタンが酸素によって変色する金属かというと、何十年経っても表面の金属は変わりません。銀が黒ずむので、チタンも常温で空気に触れていることで陽極酸化被膜が成長するのでは?と勘違いしている方がいるかもしれませんが、空気中に暴露しただけで人が普通に呼吸している環境においては化学変化が進んだと仮定しても網膜で差異を感じられる変化はありません。視認できるのは酸化膜の成長ではまったくない、実は手の皮膚やファンデーションによる油膜です。

銀とチタンはここが違います

混同しがちな銀が変色するのは、空気中の硫化水素と銀の反応=硫化です。さらに混同しがちな鉄を長年放置すると水蒸気によってさびるというイメージを連想するかもしれませんが、チタンは海でもプールに浸かり続けても酸化が進行したりして変質することはありません。

変色して見えても洗えば戻るから変色しているとも言えますが変質はしていません

変色しますか?変色しませんか?と聞かれますが、変色して見える理由は手の皮脂で光線が変化するけれど、変質はしませんというのが厳密な答えかもしれません、。
チタンリングを制作して20年以上経ちましたが現在まで変色していません。店頭にございますので見に来て下さい。チタンが変色して見えるのは油分がついたことで光の反射(輝き方)が一時的に変わってしまうため。眼に見えているものはすべて可視光線を跳ね返したり吸収したりしてから網膜に到達している光が認知されてから色を感じますので、その反射が変わって違うと感じることはよくあります。特に金属はほかの物質よりも光を跳ね返して色が認識されるので表層の反射状態が顕著です。 CDの表面など、指が触れた部分だけ色が変わって見えるのは手の脂で反射が変わるからです。変色を変質と勘違いする方がいらっしゃるのですが、乾いた綺麗な指でしか触れていなくても、皮脂が付着するのです。 油分さえ除去すればチタンの色は元どおりになるのです。洗剤で綺麗になります。ローション入りのティッシュで鏡を拭くと曇るように、反射を変える油分を含むものがありますので、純チタンの表面の光り方は光源によって輝きは変わって見えます。ハンドクリームの成分、整髪剤、お化粧品によって輝き方が変わりますが、変質はしません。研磨が不十分な工業で仕様される材料ですと油分がこびりついていることもあり、工場では反射が変わりえますが、きちんと職人が制作したジュエリーは変色はありません。

やけどするくらいの高温で20年放置したらチタンブルーはどう変わったか?

20年変色していないチタンブルー

こたえは変化していません。ハロゲンライトを照射している為高温になるショーケースで20年経ったチタンブルーはまったく変色していません。

こちらはシルバーとチタンを組み合わせてダイヤを入れる前の段階で撮影しておいた写真。変色しない

変色しない2色になっているのは、チタンの地色、つまりもともと銀の色よりダークグレーというか、シルバーより濃い目の色を持っています。
汗にも海水にも温泉にも変色はなく、もともとの暗めのグレーは一定の色を保っております。 チタンを腐食させる環境が整えば酸化するかもといったコメントをしている金属に対する工業分野の記事も散見されますが、実際にチタンを腐食させるほどの強烈な酸を環境で作るとチタンが腐食する前に指が皮膚が溶けてしまいますし、皮膚が溶けるほどの強い酸を含んだ汗を書く人間は存在しないし、実際に17年間チタンの色がこのままの状態で現存しているのがまぎれもない事実です。チタンの不動態皮膜の安定できるpHと人の皮膚の皮脂膜のpHを比較した場合に、チタンの不動態の耐えるpHの方が酸からアルカリまで大幅に上回った耐性があります。皮膚が溶けないけれどチタンだけ溶けるという環境は化学的に絶対にありえません。

ずっと色の変わらないチタン

くりかえしますが、チタンは変色しません。黄色く変色したと勘違いされるのは光源が黄色い場合です。

手で触れたときにチタン表面に不着した油膜が光の反射で玉虫の反射をしますので、黄色い光源下で通常と違って見えるときがあるのはすべての物質に共通します。チタンの表面は単色でなく、光の反射がチタンの色として網膜に到達し、色彩を認識します。油分を完全に洗浄除去することで、元通りのチタンの原色に戻り、わずかに黄色くなったと感じたのは誤解だと解ります。こうした出来事を通して、普段何気なく見ていた物体の色について、あらためて光と色彩と見え方に焦点を当ててみるといろいろな発見があると思います。 チタンの変色と発色を誤解する方もいらっしゃるようです。チタンの荒削りの表面は光を乱反射し、ルーペで覗くと無色の中にもプリズムに見られるような反射が認められます。これは不動態を生成するチタンの性質で、虹のつぶつぶの集まりで物質の表面が金属の色として認識されます。そしてこのチタンの不動態こそが、白金と同等の貴な化学的安定構造を持つ特徴です。

ジルコニウムとの比較

ジルコニウム、ハフニウムは結婚指輪の用途よりも、原子炉の制御材料としての用途においてもっとも成果を発揮する金属材料

ハフニウムはもともと原子炉に使われるためにジルコニウムから分離させられてうまれた金属です。化学プラントにおいてもっとも用途が発揮されます。ジルコニウムに発色させるには電解発色でないときれいな鮮やかな色が出ないのですが、剥げ安い欠点があり、ジルコニウムは色の耐久性が低く、再発色の需要が高くなっているため、耐久性の高いチタンをおすすめしています。

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