レアメタルの中でもチタン以上に身近なタンタル製品
タンタルの原料が原鉱石コルタンだということをどれだけの日本人がご存じでしょう。タンタル製品は世界中の人が持っている携帯電話、スマホ、タブレット、ノートパソコン、ゲーム機などバッテリーを内蔵したすべてのIT機器です。このサイトを見ているすべての端末にタンタルがあります。
携帯電話、ラップトップパソコンなどIT機器のタンタルコンデンサ部品に入っているタンタルの精錬されるまえの原料それがコルタンです。わたしたちの日々のコミュニケーションにとって欠かせないスマホが火種となってコンゴ民主共和国で起こっている紛争をより複雑にしています。日本は携帯電話などITガジェットの世界有数の消費大国のひとつ、そして「ブラッド・コルタン」の受益者。つまり結婚指輪タンタルへの「需要」が、天然資源争奪をコンゴ民主共和国(DRC)やベネズエラで加速させ、DRコンゴの地元住民の命を奪っていることと直結する背景と金属の関わりは無視できません。
タンタルという金属自体に罪はありません。サプライヤーに問いながら、コンフリクトフリーなタンタルを使う、紛争鉱物を使わないという意志が拡がりを持ち始めているところです。
なぜコンゴを血で染める戦争は続くのですか? 著書「COLTAN」 「コルタン」by ALBERTO VAZQUEZ-FIGUEROA アルベルト ヴァスケス フィゲロア
コルタンとは=コロンバイト + タンタライト 金属タンタルの原料の名前がコルタンです
コルタンは別名「青いゴールド」オーロアズーロ”oro azzurro”とも呼ばれます
タンタルの色:チタンの色:タンタルの色味とチタンカラー、ゴールド、シルバーとの比較
タンタルの原料となる石「コルンブ石」コルンブ石 コルンブ石はニオブ、タンタル石を含む鉱物です。黒色の粒ないし結晶になって、花崗岩ペグマタイト中やカーボナタイト中に発見されます。ニオブとタンタルの割合が自由に変化するので中間的なものもあり、この二つの鉱物を区別することは難しい。.微量のウランやトリウムを含有する為に、コルンブ石は弱い放射能を持っています。
photo by "The Widow"
紛争地でないタンタル産出国オーストラリアは資源立国ですが、同時に環境立国でもあります。鉱物資源を掘り製錬される工程で害悪を出したら、環境に負荷をかけて汚した分、破壊した環境へペナルティーを払いきれいにしなければならないコストが高い国なので、採算が合わないのが理由。
金属は鉱石を精錬して作られるものです。コルタンがタンタルになります。タンタルは地中奥深くを掘ればすぐに産出するわけではありません。地球の長い年月で醸成され石にいろいろな鉱物が混合体コルタンとなって眠っています。それを掘り起こし、還元してタンタルが作られます。だから純度の高い良質なコルタンと低品質の不純物の多いコルタンがあります。それを還元して金属であるタンタルにします。コルタンに限らず、鉱石には金属になれる成分がたった2%しか含まれていなかったりします。98%が環境に負荷につながると指摘されるのはそのためです。陽の目をみられなかった鉱物、捨てられてしまう鉱物の多さは貴金属に至ってはケタ違いです。これらを金属の背後霊と名付け社会に広く知ってもらおうという動きがあり、金属の背後霊と言われています。物価の面でも税の面でも環境コストの高い国オーストラリアではコルタンを掘っても採算が採れなくなって閉山するのはそうした理由です。
そしてコンゴ民主共和国のコルタンは良質です。だから奪い合いになり戦争になるのです。ですからタンタルは微量でもリサイクルする方向で世界が動いています。
鉱物が混ざった水がミネラルウォーターです。還元される前の鉱物が溶け込んだ水を飲んでいることになります。私たちは鉄が必要とか亜鉛が不足してはいけないとよくいいますが、それは金属として精錬される前、金属として還元されるまえの鉄であり亜鉛でありマグネシウムです。
だからミネラルとしての鉱物と鉱物が還元され精錬された金属とは違います。
タンタルと違い、チタンの場合は、原料コストが高い日本、エネルギーコストが高い日本、環境コストが高い、人件費が高いなど、四重苦、五重苦のこの国で、高い技術力の日本企業によってロンダリングされないで鉱石から金属チタンがつくられています。鉱物資源発掘で問題となるゴミは、ごみはごみでも、使い終わった携帯電話になったタンタルのごみのことではありません。ほんのわずかな数グラムのタンタルを掘るために捨てられた資源のごみ(=エコロジカルリュックサック)のことが問題とされています。
メーカーも悪いコルタンは使いたくない現状 資料リンク*どこ産のコルタンかわかりにくい
*資料レアメタル・オブ・レアメタルのタンタルにフォーカスを当てた、日本初となる国際的なシンポジウム「国際タンタル・ニオブサミット2019 inTOKYO」を3月6日(水)に開催されました「国際タンタル・ニオブサミット2019in Tokyo」
コンフリクトフリーのラベルを貼ればそれで解決するわけではありませんが、プロドットではどこからタンタルが来たのか、タンタルが作られる国は物価の安い、賃金の低い国なのか、鉱石は誰が掘ったのかを問いながらコンフリクトフリータンタルを調達しています。当店で扱うタンタルはコンフリクトフリータンタルで、タンタルの収益はすべて紛争フリーに向けた取り組みのNPOに充当します。
環境汚染産業の第2位がファッション業界などとSDGsが叫ばれるようになりましたが、ファッションを楽しむことを避難するのではなく、環境負荷の過程に消費者も目を向ける責任が問われるようにタンタルにも同じことが起こっています。タンタルの環境問題、社会問題はその産地にあり、消費される携帯電話の不可欠な鉱物=ダイヤモンド以上の価値の争奪戦が実際の地域紛争を起こし続けます。
ジュエリー素材としての金属「チタン・ジルコニウム・タンタル・タングステン・オーステナイト」のはなし
アレルギーリスクを回避するための素材としてチタンとタンタル、ジルコニウム、オーステナイト、純プラチナ1000、純金24kという金属があります。生体に最も適合性の高い金属という特性をもつ金属がチタンとオーステナイト316Lです。医療でも使われいます。 金属にとって腐食というのが最大の弱点であり、この腐食に縁が無いのがチタンです。 プロドットコムの純チタンは空気中で放置されても変色することはありません。20年前に制作したチタンの指輪がどんな色か実際に店舗までぜひ見にきてください。 チタンの良さを知るためには、他の金属の性質も知っていただければと思います。 手作りワークショップも開催しています。
指輪上段がシルバー950、下段がタンタルの指輪
■タンタルはゴールド以上に粘りのある柔軟な金属です。叩いてかなり伸ばすことのできる展延性のある素材です。チタンがさらっとしていて硬いのに比べるとタンタルはよりしなやかな展延性で叩き跡も着け易いので加工の幅も拡がります。やわらかさが細工や仕上げの自在な利点ではありますが、磨耗にはあまり強くない点に結婚指輪としては留意が必要です。ジルコニウム原料よりは高価ですが、流通としてもレアで、精製する工程を経ると手に入れ難い金属です。さらにそれを加工するとなれば工具の刃がコストとなっていきます。暗いグレーがとてもゴールドの色と相性が良く、伸びる性質を活かした指輪を作ることができます。
■金属の原材料 *ジルコニウム原料の価格帯、チタニウム原料の価格帯
チタニウム、ジルコニウム、タンタルの原料の価格と地殻中の存在量の多さとは、相関関係が必ずしも一致していません。これは、地殻中に豊富にあろうとも、鉱石からの分離がしにくく、加工が難しいので、需要に対して品薄になり易いからレアであると言えます。チタニウム、ジルコニウムを精製する高い技術とそれを加工する難易度の高さが市販に流通するチタニウムジュエリーやタンタル、ジルコニウムの指輪となって届くまでにさまざまな工具を消耗する過程でコストとなるからです。
経済産業省によれば、
「レアメタルは地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属のうち、現在工業用需要があり、今後も需要があるものと、今後の技術革新に伴い新たな工業用需要が予測されるもの」
と定義されています。
左:指輪の内側タンタルと外側ゴールドの2層構造 /右:内径チタンと外径ゴールドの2層構造の結婚指輪
タンタルはマイクロチップのような小さな部品としてバッテリーに使われて活かされる希少な金属です。どうやったら小さなタンタルのチップが携帯から回収できるか、リサイクルが急務で、研究が進んでいます。
資料*タンタルコンデンサ(capasitor)などのレアメタル スクラップと再利用の研究(東京大学)ダイヤモンドとゴールド(金)希少価値があるのはどっち?
どの金属にアレルギー反応あるか知るまでもなく
紛争ダイヤ禁輸と監視
結婚指輪とは違う、婚約指輪のサイズの選び方
チタンの表面の油膜の不思議
チタン、ジルコニウム、コルタン?
コンフリクト ミネラル3TG(タンタル、すず、タングステン&ゴールド)をめぐる密輸と武器の資金
イオンの発生と水分の不可欠な関係とバーチャルアレルギー
アフリカの地下資源
水銀、カドミウム、鉛
実験室の人工的なプラチナイオンとジュエリーの金属プラチナの違いは
パッチテストの金は塩化金から出来たイオン、ジュエリーの18Kやシャンパンゴールドは何から出来ているの?
判定が(+)(-)出たけれど具体的にどのジュエリーがだめで、どのアクセサリーなら大丈夫なの?
重い指輪ほど実際着けなくなる人が多かったのはなぜ
温泉や天然鉱泉に溶けている天然のミネラルは金属イオンなので金属アレルギーになる可能性があります
オーステナイト316L製リングとは=18%Cr-12%Ni-2.5%Mo
日常生活の中にあるほとんどの金属は、用途と使用環境に応じて利点を持ったさまざまな元素の金属が配合され研究されています。生体性と防食対策を研究されて作られたのがオーステナイト316L。生活製品の素材であるチタン以外のさまざまな金属たちは酸素による酸化などの腐食によって金属イオンがリリースされてしまいます。これがアレルゲンになるわけですが、身のまわりには、その4大弱点である粒界腐食、孔食、すきま腐食、応力腐食に対抗するために調合され開発された、さまざまな番手の合金が存在しています。オーステナイトとは:鉄を主成分とする合金鋼です。
合金鋼の種類はマルテンサイト(刃物などに)、二相、フェライト(家庭用に)、オーステナイトに大別されます。そのオーステナイトのうち304、316、316Lなど48種ある番手のうち、大半が18%Cr-8%Niステンレス=sus304(用途:スプーン、フォーク、台所シンク)。
ワンランク上のグレードになる316は304にモリブデン(Mo)を添加して耐食性を強めた鋼種。
材料工学において、耐食性を研究されているのはあくまで工業における機能性の分野で、指が溶けてなくなってしまうほどの劇薬に対して耐食性を必要としない指輪の分野では、そのような耐食性は必要としません。逆に工業を用途とする耐久性よりは磨耗に対する耐性や、成型における可塑性、展延性の方が指輪には影響します。
サージカルステンレス:耐粒界腐食性を高めるため炭素の含有量を0.030%以下に下げることで(Lを着けて表示される)極低炭素型に改良されグレードアップした鋼種がsus316L。シルバー925のように変色しない利点があります。
力学的強度と耐食性に優れ、俗にサージカルステンレスと言われるものがこれにあたります。=18%Cr-12%Ni-2.5%Moというのが316L。
用途:歯科部材や、ボディーピアスの素材。
(Ni)ニッケルが配合されることで応力腐食割れに強い金属となります。ニッケル金属アレルギーの方は、腐食には縁がないもっとも耐食性の強い純チタン製リングを選ぶべきです。ニッケルフリーステンレスが望まれるところですが、(Ni)ニッケルフリーステンレスは成形の工程や製造される条件によっては素材が硬くなってしまい、切削が困難になるうえ、特殊な溶解炉を要するため加工が難しくなるため、316Lが治療器具には実用されています。
■Cr クロムとは
人体にとって不足してはいけない必須の栄養素。
(Cr)クロムの配合量が多いほど孔食やすきま腐食に強い金属になります。
めっき用に6価クロムが使用されることがあり社会問題となったが、六価クロムは極めて毒性が高いため、現在では使われなくなってきている。
ルビー、エメラルドの赤やミドリの色は、クロムが含まれているために発色。
混同しがちですが、クロムそのものは、人にとって必須の元素であるが、六価クロムは特に人体に有害。
■タングステン
タングステンがいくら硬いからといって、切れないから指から抜けなくなるといったデマ的なフェイクニュースが語り継がれゼクシイにまで及んでいますが、実際に検証された話ではありません。刻印しようと打刻してみましたが、タングステンが割れてしまったことはあります。
タングステンリングをハンマーで叩いても加工できず砲弾同様に裂けてしまい鋼鉄ハンマーの方も大きく傷つきへこんでしまいます。(まねしないでください)
クロム族元素に属する非常に酸化に強く、硬いレアメタル。比重は鉄の2倍と非常に重い。散弾銃の弾丸としても環境に悪い鉛に替わる新しい材質として注目されているが、その希少性硬さゆえに加工が難しく広く、高価なので実用されていないようです。人体にも無害な希少金属。
■プロドットコムでは
当店の使用するシルバー950というのは1000のうちの残りの 5%は硬度を増すため純銅が使用されていますが、銅に対するアレルギー回避が必要な場合には、純銀999.99や、プラチナ100という、10%プラチナを配合したシルバーでの制作もご希望があれば承ります。