結婚指輪を新しく作りに訪れるご夫婦は必ずとても仲が良いという法則があります。もうひとつ記念に新しく作ろうとするのですから、仲がよい証拠でもあります。プラチナが曲がってしまったからという理由が圧倒的に多いのですが、10周年の記念だから。20周年の記念、30周年というお客様もおられました。指輪はモノですが、結婚指輪を新しくあつらえるというのは大切なイベントです。
10年前に主流だったプラチナの結婚指輪が重たいので、新しく記念にチタンで作り直したいとご来店されるケースや、プラチナで作ったけれど、金属アレルギーで着けられなくなってしまったのでチタンで新しくしたいというカップルが来店されています。ごつい系が若いころの志向だったけれど、幅が太いと重いし使いづらいという点で後悔されたご感想も聞きます。
むかしはあまり選択肢がなかったり、あまりチタンはポピュラーでなかったけれど、今ではチタンはプラチナのリスクを解消してくれる安全で軽い金属として注目の的となりました。
さらにプラチナの結婚指輪が体形の変化できつくなってしまったのを機にチタンで新しく買い替えるカップルもいます。重たいからだんだん着けなくなってしまうのではなく、新しく結婚指輪をあつらえたいとお越しになるご夫婦はほんとうにお幸せそうです。
あとから後悔しないために丈夫で軽い金属を選ぶことをおすすめします。
SDGsと貴金属の鉱山にまつわる児童労働との関係の深さに気づいて、ゴールドを選ばれて後悔された例も伺いました。最も問題の深いのはゴールドプラチナもさることながらタンタルも大きな罪を背負っています。購入後の時代の変化により後悔しないために産地を確認し児童労働の余地のある金属でないかどうかを確認して選ぶことも大切になってきています。
結婚式を大安吉日に挙げても離婚したカップルもいれば、仏滅に挙式して幸せな家庭を育んでいるところもあります。そうした逆境で揺らぐ事がないほどの確固たる結び付きだとも言えるでしょう。
新車の交通安全祈願のお祓いに行った日に交通事故で廃車になってしまい、お祓いに行ったこををあとから嘆いている人もいます。風水を信じすぎて住みづらい家になってしまうこともあることからもわかるように、迷信とは現代にそぐわないこともあります。気にする、気にしないは人それぞれですし、仏滅に結婚式は大丈夫でも、友引に告別式をできるかはわからない人もいます。迷信や言い伝えのほかに、現代には資源の呪い(*s)もあります。
結婚の報告の文章にも「どんどん」、「ますます」といった繰り返し言葉は使わないようにします。
結婚式のスピーチも「またまた」、「しばしば」といった言葉も重ね言葉といってタブーとされます。重ね着けのエンゲージとマリッジは良いのに、言葉は微妙ですね。
花嫁は結婚式につま先の空いたオープントウのパンプスを履くと縁起が悪いとされています。つま先なので妻がさきにいってしまうというところからきているそうです。また、開店祝いや開業祝いに赤いものを贈ってはいけません。赤字を嫌うからだそうです。
歴史をさかのぼってみると結婚指輪とは、文字もない時代に、指輪が契約の役割を果たしていましたから、結婚指輪というのはとても大切なアイテムだったとわかります。結婚という契約によって縛りつけておきたい意図があったわけですから、指輪をパートナーが紛失すれば何かが起きると暗示をかけたり指輪が割れたり破損すればよろしくないことの前兆だとほのめかし、お相手のことも、結婚指輪のことも大切にするよう仕向けられていたと考えるのが自然でしょう。
欧米の人は結婚指輪をはずすことはなく、結婚してからずっとはめ続けているのも、結婚指輪をはずすと愛が冷めるとか、人に指輪をはずしてもらうと幸運が逃げるという言い伝えからきていることかもしれません。
円は完璧なかたちであり輪の中に遠心力と求心力が同時に内砲され、輪は単なる指輪を超越したコスモロジーでした。円は成就、継続の象徴とされていましたから、円が途切れることは好ましくなかったのでしょう。
古代から人々は円形にこだわりを感じ、腕輪、指輪、帯、冠といった円形の装飾品を身に着けました。
イタリアのフェデリングは、手を握り合っているデザインの結婚指輪があります。これも固い絆、契約を示唆しています。何が何でも離れないというのに、ギメルリングというのがあります。2重、3重になったリングも、切っても切れない結婚指輪を現しています。ジューンブライドの慣習もヨーロッパのものです。
ジャンコクトーのためにデザインされたカルティエによる3連リングはこのギメルリングの発展形でしょうかそれとも三位一体の象徴の発展形でしょうか。3つのリングが切ってもきれない、離れない構造のローリングリングです。
日本国内では弥生時代の指輪はシンプルなものが出土しましたが、その後古墳時代に出土したアクセサリーの中で、イヤリングや勾玉のペンダントは多数出土したにも関わらず、リングは九州でほんの数個発掘されていますが、日本全土で広く指輪が普及していたというものではありませんでした。農耕稲作に指輪が邪魔だったのか、神社でまず手水で両手を清めることからも、手にとって指輪が適さなかったのかもしれません。日本では指輪よりもかんざしや根付けの文化が花開きました。
サイズ直しが縁起が悪いというよりは、円を切るということが、幸運を切断することに繋がるとされてきた歴史があります。指輪とは始めも終わりもない循環の象徴でもあります。マリッジリングとは円を完璧なかたちと捉え、結婚を円環のイメージになぞらえたローマ時代から円は神聖とされてきたところに由来します。
これに差し障りがあるとすれば、小さくサイズ直しする時の切り詰めるという作業であってサイズ直し全般ではありません。指輪を小さくするには、余分な部分を切り捨てなければなりませんから、これは円環を途切れさせ、切っても切れない縁をも離れさせてしまうのは、結婚という縛りを解いてしまうことにつながったのでしょう。金環日食も不吉と恐れられたのは大昔のことです。日本においては、愛のシンボルは円よりもハートのイメージが強く、円環が途切れても気にしない、ハートが切られるイメージの方が避けたいものと刷り込まれているようです。
サイズ直しと縁起/まとめ: サイズ直しが縁起が悪いのではなく、円=縁を切断してしまうことがよくないということなのでしょう。
展示品を自分のサイズに直して購入するのは、その在庫品の円環をセパレートにしてつなぎ合わせる加工が入った中古品となります。在庫処分のバーゲンセール品のダイヤモンドのリングをエンゲージにするなら、シンデレラのように奇跡的にぴったりだったらラッキーな買い物。
縁起を気にしすぎるとダイアナのエンゲージリングもキャサリンに継承できないことになってしまいます。ヨーロッパのようにあえてアンティークを大切にする文化に寄り添うドライフラワーですが、日本でもウェディングにも人気です。その一方でドライフラワーは死んだ花という風水の古い言い伝えを信じて日本ではドライフラワーを飾るのはよくないと言う人もいます。生花はすぐに捨ててしまうという考えに対し、植物を育て間引くために摘んだ草花をあえてドライフラワーを作り最後の姿までいつくしむ心がとくにヨーロッパでみられます。これは花瓶にさしっぱなしでしおれた花ではけっしてないのです。風通しの良いところで逆さに吊るし美しさを閉じ込めるのです。風水の言う死んだ花とは別ものです。ドライになった木の実や草花の編み込まれたクリスマスリースを飾ったりする美しい心も、栄養の凝縮されたさまざまなドライフルーツを楽しむのも風水ではよくないのでしょうか。
サイズ直しできないという工房はありません。太ってしまったなら仕方ありません。サイズ直ししましょう。でもサイズ直しできるからと購入時に警戒感を除こうとされるか、最初から正確性に真摯に向き合っているお店か、それは最適サイズを導き出せるかのスキルに関係します。
既製品とは違い、個々のお客様に最適なサイズで作ってさしあげるのは技量が要ります。最初からベストのサイズで作れないショップさんの使う常套句として「いつでもあとから直せますから。。。」といってその場をやり過ごすショップさんもあります。そうではなく、サイズ直しをする必要がないぴったりでしかもゆとりも適度にあり絶対に落ちない絶妙なサイズというものがあることを知っておきましょう。買うときに既製品をサイズ直しするのもNGです。メスを入れて一度開口し閉じなおされた指輪は中古になってしまうからです。円環は切れ目なくつながっているのが結婚指輪、開かれたままのC型の結婚指輪はありません。Cのオープン型は離婚指輪。
ギリシャ神話に出てくるゼウスやヘラクレスといえば、石膏デッサンを思い出しますが、ティタン(タイタン)の神も登場します。
主神ゼウスに背いたプロメーテウスが、人間に火を与えた罪で、岩に鎖で繋がれる神罰を受けるくだりがあります。ゼウスは、怒りにまかせて重い罰をタイタン属(天と地を父母とする巨人)の子プロメーテウスに与えたことを後悔するようになり、のちに人間の英雄ヘラクレスがコーカサス山からプロメーテウスを助け出したとき、それを黙認したのですが、プロメーテウスを永遠にコーカサスの岩に縛り付けるという罰は、主神ゼウスといえども取り消すことが出来なかったので、ゼウスはプロメーテウスを縛っていた鋼鉄の鎖(チェーン)をひとコマ取って、そこにカウカソス(コーカサス)山の岩(鉱物)のかけらをはめ込み、輪の端を閉じて一つの指輪を作りました。その指輪をはめたプロメテウスは、自由の身でありながらカウカソスの岩に鎖で繋がれている、ということになるので、それで罰は完結する、というストーリー。このとき繋がれていたチェーンのひとコマを輪にカウカソス(コーカサス)山の鉱物(岩)をひとかけらはめこまれた指輪、今で言うストーンセッティングされたリングが、世界最古の指輪として神話化され、印章指輪のルーツともなり、指輪が拘束の象徴ともなっています。金属チタンの命名もタイタンの神からとっています。
資料参照橋本コレクション国立西洋美術館 指輪展(2014夏 上野にて)
参照(*s)資源の呪い
手作りの指輪。そうでない指輪。手作りじゃないとすると機械で量産の製品。手作りならいろいろな細かい注文をつけて調整したり簡略化したり強調したり目立たなくしたり。工房で職人に頼むともっとこういうのが欲しいというリクエストもし易いと思います。
手作りならではの良い点はなんといっても融通がきくところ。カスタム、ほんのちょっとだけの個性的なアレンジ。フルオーダーというほどではなくても、ほんのちょっとした工夫でオリジナルの結婚指輪が可能。 結婚指輪への思い入れをひとつ組み込む。それがオーダーメイド、ハンドメイドの良いところ。職人に直接オーダーすれば、さらにいいアイデアがでてくることも。一点もののオーダーは職人も喜びます。その場のやりとりの中から新しい作品が生み出される、こんな幸せなことはないのです。ぜひ足を運んで一点ものを生み出して欲しいと思います。
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