ハードプラチナで金属アレルギーが出るのはプラチナのせいではない

強度を増す目的で、本来の純ソフトプラチナにブレンドして割金（わりがね）をブレンドされているのがハードプラチナです。結婚指輪を最初はプラチナで着けていたのに徐々に痒くなって着けられなくなってしまった例がたくさんあり、実際に、来店されるお客様の中にも、プラチナはできなくなってしまったと、チタンで作り直しされる方がおられます。プラチナに含まれるパラジウムを除去することで金属アレルギーリスクを軽減することが可能ですが、いつかゆくなるかもわからないプラチナを着けるのであれば、最初にチタンで作っておけば一生安心です。

プラチナ、ホワイトゴールド、チタン、シルバー、タンタル、ジルコニウム（＊１）などの地金に代替えできるデザインです。金属アレルギーの度合いに応じて対応しています。 プラチナは同じ体積ながら重さはシルバーの2倍ほどになります。総チタンで作るよりずっしりした着け心地です。 プラチナは歪み易い柔軟性のある貴金属です。長く結婚指輪として愛用すると真円でなくなっていきます。そのためプラチナのマリッジリングは厚くつくられがちですが、そのぶんプラチナは重量が多くなり、重たい着け心地でだんだん身に着け続けなくなってしまう傾向にあります。一部にチタンまたはタンタル、ジルコニウムを使うことで、重量の軽減化と強度を補強するメリットがあります。デメリットは、お手入れの際、パーツのすきまに石鹸がたまったりしますのでメガネ洗浄機などで年に一度落とすと良いと思います。タンタルの場合、金属の地色が暗めなのでプラチナとのトーンに明暗コントラストが出てアクセントになります。

プラチナ1000という純度100%のプラチナに対して、Pt900というハードプラチナという地金があります。純プラチナはソフトプラチナと言ってよいほどやわらかく、歪み易い欠点があるため、補強のため合金にして強度を上げているのが一般的なジュエリーです。 チタンと組み合わせることで、純プラチナの材質でも十分歪みの無い、強度のある結婚指輪が実現します。

皮膚に対し化学反応を起こす金属　VS　反応しない金属

ここで心配なのは、金属アレルギー反応のある方の場合です。 プラチナ1000であれば、絶対に人の汗で溶けることがないので、チタン同様かゆくなるなどの化学反応は一切起こりませんが、合金を使ったPt900の場合、1割の銀とパラジウム、あるいはルテニウム、イリジウムなどが配合されていますので、どの金属にアレルギーが出るかを知る上でも、割りがねを指定してオーダーすると安心だと思います。チタンとPt1000であれば、将来に渡って金属アレルギーが発症するリスクは全くありません。体質によって金属アレルギーが起こるかどうかなのではありません。体質に関わらず、化学反応を起こせないからです。
（＊１） ジルコニウムという金属こちらに概述しました。

金属元素の毒性評価/国立医薬品食品衛生研究所　薬品部